2014/01/15

ランチェスター経営とは何か調べてみた


◆まえがき


この記事はランチェスター経営について調査したことをまとめた文書です。
記者は戦術・戦略や経営に精通しておらず、Web上の情報を独自に噛み砕いて再出力した内容であり正確性は担保されていないのでご注意ください。
新ランチェスター戦略については取り扱っていません。

ランチェスター経営はランチェスターの法則を基盤に展開する理論なので先にランチェスターの法則を紹介し、次にランチェスター経営について説明します。



◆ランチェスターの法則


 ランチェスターの法則とはフレデリック・ランチェスターが考案した、火器を使用する近代戦闘において、いくつかの前提を設けて戦闘を単純化した時の勝敗を方程式化した計算モデルである。
 ランチェスターの法則には第一法則と第二法則がある。
 第一法則は野戦陣地・重火器・火砲・航空機等を考慮せず、隘路において平面的な戦闘を行うことと、お互いが地形情報を把握していない局地的な遭遇戦であることを前提としている。
 第二法則は野戦陣地・重火器・火砲・航空機等を勘案し地形情報を互いが把握しており立体的な戦闘を行うことと、一人の兵員が複数の兵員に同時に打撃を与えることが可能であることを前提としている。

 上記の前提を踏まえ、ランチェスターの法則の方程式を紹介する。


・第一法則の方程式


・第二法則の方程式


 A_0はA軍の初期の兵員数
 A_tは時間 t におけるA軍の残存する兵員数
B_0はB軍の初期の兵員数
 B_tは時間 t におけるB軍の残存する兵員数
Eは武器性能比(Exchange Rate)=(B軍の武器性能)÷(A軍の武器性能)
(軍の戦闘力)=(武器性能)×(兵員数)


 第一法則の方程式は単純化した平面的な戦闘を行う戦場において兵員の総数と武器の性能によって勝敗が決まることを示す式である。
 第二法則の方程式は単純化した立体的な戦闘を行う戦場において初期兵員の総数が勝敗を決める要因としてより重要視されることを示す式である。しかし、武器の性能や火砲・飛行機等の兵器の性能差に極端な差が存在するときは兵員の総数を無視できることを示す式と見ることもできる。

 以上がランチェスターの法則の概要である。
 この法則は近代戦闘を単純化したモデルに過ぎず、現実での損耗比や勝敗を計算するには非現実的な方程式である。


◆ランチェスター経営


 ランチェスター経営とは上記の法則を経営戦略の説明に用いた経営理論であるが、実際のところは第一法則と第二法則の前提を全て無視して各方程式を説明の内容にこじつけただけのモデルであるので、ランチェスターの法則自体はそれほど重要視しない。

 ランチェスター経営の説明では強者と弱者という用語が使われる。ランチェスター経営における強者と弱者とは、市場シェアが1位が強者でそれ以外が弱者と定義する。なお、この市場シェアは企業全体の売り上げベースではなく、地域別・部門別・商品別に考える。そのため、一部地域では強者であるが、別地域では弱者ということがあり得る。
 ランチェスター戦略とランチェスター経営との繋がりはというと、前項で紹介した第一法則を弱者戦略、第二法則を強者戦略として適応する考え方である。

 弱者戦略とは初期兵員の投入数が少ないのであれば、渓谷等の隘路な地形を利用し、局地的に1:1もしくは1:Nの相手より戦闘力を上回ることができる戦場を用意するか、武器の性能比を自勢力に有利にすることで勝利すること。つまり、一部の地域に営業力を投入して局地的にシェアを確保するか、商品開発に注力してあって圧倒的な商品性能で勝負することを示す

 強者戦略とは武器の性能比が劣っているのであれば武器の性能比を無視できる兵員を投入することができる戦場を用意するか、武器の性能比を同等に戻すことで兵員数により圧倒し勝利すること。つまり、全国放送のCMなどで知名度をあげたり、ブランドイメージなどでシェアを確保し、多少製品性能が劣っていてもアフターサポートなどの別の分野も含めて勝負し、後々商品性能の向上で相手を駆逐すること示す。

 上記から、兵員数を確保できない中小企業が弱者戦略を採用し、兵員数を確保できる大企業が損害がより少ない損耗にできる強者戦略を採用すると論じている。

 ランチェスターの法則を経営戦略に直接当てはめる場合、法則の変数である初期の兵員数と武器性能比を定義する必要がある。
 初期の兵員数は事務・営業・開発等の各部署の人員と定義できるが、前提として最適な部署の人員が常に遅滞なく業務が遂行できることが条件となる。
 しかし、面積当たりの営業先の数は有限であり、新商品の開発は人員を投入すれば解決する業務ではないので、人員を過大に投入することも困難である。
 武器の性能比は商品の性能差と定義できるが、競合する商品が同世代の機能をもっており性能が商品として一定水準以上の品質であることが条件となる。
 しかし性能比を求める式の要因は企業ブランドやコストパフォーマンス等複数あり、精度の高い性能比を求めることが困難である。
 よって経営戦略に直接ランチェスターの法則を当てはめることは難しい。
 元々ランチェスターの法則は近代戦闘に前提条件を設け、限定空間における短期的な戦闘について考察したものであるので、長期スパンの年月で物事を考察する経営戦略においては現実における様々な要因を加味すると方程式をそのまま流用できず、要因を性能比の計算に押し込めた場合性能比を求める式が複雑化し精度を出せなくなるため、式そのものは分析手法の評価式として採用できず経営戦略の考え方の一つとして見ることに留まる。


◆まとめ


 ランチェスター経営の要諦は弱者がいかに武器を改良し、武器の性能を生かせる戦場を整え局所的に優勢になることを追求することと、強者がいかに武器の性能差を同等にし兵員数で圧倒できる戦場を整え総力戦で圧倒することを追求することにある。
 各立場から考察された手段はいくつもあるが、全てに通用する方法論はないので、その都度判断が求められる。


0 件のコメント:

コメントを投稿