2015/01/15

SHIROBAKO 12話の小笠原綸子と杉江茂の関係について考察



 まず何を話したいかを述べる。
 「小笠原綸子と杉江茂は昔、師弟かそれに近い関係だったのではないか!?」
 ということだ。




# 状況の整理

 11話時点までのキャラクターについて情報について整理してみる。



 小笠原綸子は武蔵野アニメーション内では「えくそだすっ!」のキャラクターデザイン及び総作画監督(※1)を担当している。アニメーション制作としては重要な立場であるが、作中では基本的に無口・無表情。いつもゴスロリ系の服を着ている。社内での通称は「ゴスロリ様」。必要最低限のことしか話さないが、上司として安原絵麻に気を使うこともできる。



 杉江茂は武蔵野アニメーション内で社外の子供向きアニメの作画を担当している原画マン。年は50台後半から60代前半ぐらいの定年退職の足音が聞こえてくるぐらいの年齢で11時ごろには布団に入る習慣がある。
 1話(+11話)で「杉江さんに(萌えアニメの作画を)任せられないか?」という話が挙がるが、「今風の絵は……」「30年前なら……」と戦力外と看做されていた。
 安原絵麻に気を利かせて色々アドバイスをするが、言葉に過不足があり上手く伝わらず井口裕未にフォローを頼む程度に友好関係がある。安原絵麻が井口裕未に連れて行ってもらった公園を最初に見つけたのは杉江茂。そこから小笠原綸子に伝わり、小笠原綸子から井口裕未に伝わった。


 ※1:略称は総作監。大雑把に言えば全ての話数でキャラクターの画風が一定であることを保証する最終責任者のこと。

# 小笠原綸子に対する印象・私見

 私は小笠原綸子に対して「女性的な感性は人一倍高いが、口下手で感情を表面に出すことが苦手な人」という印象を持っている。
 女性的な感性が人一倍高いというのは、服装から見てもわかるとおり女性らしさがわかりやすい服を着ている。得てしてこういう服は管理が大変というのは想像に難くない。さらに髪もロングで毎日のケアにも時間が掛かるだろう。生活が不規則になりやすいアニメ制作の仕事でも肌と髪に気を使っていることを考えると独特な感性を持っているが女性らしさという一面を持っているのは納得してもらえると思う。
 口下手で感情を表面に出すことが苦手というのは、画面を注視しないとわかりにくいところに現れている。最初は自分の中だけで世界が完結していて、他人に興味がない人なのかと考えていたが、3話でのあるぴんのリテイクで自分のミスでなくても仕事を引き受けてくれたり、安原絵麻に作業を近くで見るよう勧めたりと話数が進むにつれ少しづつ印象が変わっていきました。
 一番印象が変化したのが下の画像にある宮森あおい宛に送られた綸子さんのメールのタイトル。



 「安原さんの猫可愛い!!!」

 まさかの発言。それほど仲がいい訳でもなく、会社で話すことも少ないあおいにわざわざ送る綸子さん。しかも「安原さんが描いた猫はうまく描けていました。」という丁寧文ではなく、エクスラメーションマーク(!)を三つ付けているところが普段の印象から外れていて意外性がありました。たまに居ますよねこういう人...つまり実際のしゃべり方とメールの文面のテンションにすごい差がある人。
 普通の人だと違和感を感じるだけですが、綸子さんだとこれがギャップ萌えというやつかと実感しました。
 これらの行いを見て、感情が表面にでないだけで内面は普通の女性なのだと認識しました。

 余談であるがこの綸子さん。総作監という立場上かなり経験を積んでいるはず。ということはそれなりの年齢になっているはずで、20代後半ぐらいだろうか?瀬川さんと同じぐらいの年齢と言われても不思議ではないのだが...

# 12話における小笠原綸子と杉江茂の関係についての考察

 さて、ようやく12話についての考察に入ります。

## 小笠原綸子のやる気から感じ取る杉江茂への尊敬と諦め

 12話の主役は誰がなんと言おうとただのモブで終わるかと思われていた杉江茂さん。意外な人にスポットライトが当たりました。杉江最強伝説は燃えましたね。
 そのことよりもさらに意外であったのは小笠原綸子の口数の多さ。そこから垣間見える杉江茂への尊敬です。 
 前述したとおり、息抜き用の公園を小笠原綸子に教えたのは杉江茂。そして12話にして「えくそだすっ!」に参加することになった杉江茂を見ていつもよりも口数が多くやる気に満ち溢れた小笠原綸子。
 しかし、杉江茂の力量を知っていたというのならば、なぜ小笠原綸子は最初から杉江茂に助けを求めなかったのか?
 確かに原画を撒く(作中表現)のは制作進行の役目なので自分の領分以外のことに首を突っ込まないのは大切なことだが、切羽詰っている状況で遠慮する余裕なんてなかったのだから、当てがあるというのであれば総作監として宮森あおいにアドバイスしてしかるべき状況だったと私は考えています。
 しかし、作中では杉江茂に対する言及はなく、スケジュールがさらに切羽詰った状況になっていきます。

## 杉江茂に諦めを抱く小笠原綸子

 なぜ助けを求めなかったのか?それは小笠原綸子が杉江茂に助けを求めても断られることがわかっていたからということになるかと思います。これはつまり、昔にも助けを求めたが断られたという背景があったのではないかと推察します。小笠原綸子は杉江茂に画力があるのも知っており、杉江最強伝説などの実績も知っていて入社当時に何かと世話になった関係なのだと思います。それが師弟関係なのか、先輩・後輩の間柄なのかは想像に過ぎませんが、作中の井口・安原と似たような関係だったのだと思います。 しかし、小笠原綸子が作監になり手が足りなくなったときに杉江茂にヘルプを求めたところ「最近のアニメとは画風が合わないから……」などのやりとりがあって以来小笠原綸子が杉江茂に助けを求めることはなかったのではないかと想像いたしました。

## 杉江茂に対する小笠原綸子の現状認識

 11話までの小笠原綸子は杉江茂に対して、過去のような情熱はない惰性で現役を続けている人間であると考えているのではないかと考えています。それが12話になり宮森あおいが杉江茂を口説き落としたことで最前線復帰になり、以前のような活躍を見せてくれるのかと期待したのだと思います。案外同じ案件を担当することは初めてだったりして、純粋に嬉しかったのかもしれません。

# 結論

 以上から小笠原綸子と杉江茂の間には作中では語られていない関係(師弟関係)があるのではないかと考察いたしました。



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